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世界で話題を呼んだ動画のコンテンツマーケティング戦略事例 〜TOYO TIRESの動画グローバルPRの裏側とは〜

ブログ投稿   •   2015年01月22日 11:15 JST

2014年11月12日(水)よりYoutube上からグローバルに公開され、世界中で話題を呼んでいる動画『AC Milan vs. Super Car by TOYO TIRES』(https://www.youtube.com/watch?v=M092PBHytC8
世界的に有名な本田選手を含む、ACミラン4選手がSuper Carと称されるAudi R8とミラノの街で繰り広げられるレース仕立ての動画で、現在、世界中で合計700万回再生を超えています。こちらの動画の仕掛け人は、東洋ゴム工業という日本のタイヤメーカー。
世界で話題を呼ぶグローバル動画PRの裏側を探るべく、東洋ゴム工業の広報企画部長・北川治彦氏にお話を伺いました。

ACミランのスポンサードによってTOYO TIRESのプレゼンスを高める

東洋ゴム工業がACミランのプレミアムスポンサーとなったのは、当社がグローバルに業容を拡大している時宜を捉え、世界のマーケットでTOYO TIRESブランドのプレゼンスとステータスを向上するために、有力なコンテンツを探していたのがきっかけでした。折しも2014年はFIFAワールドカップ・ブラジル大会の開催が控えており、地球規模でサッカーの熱狂と興奮が盛り上がるタイミングでしたし、サッカーというスポーツのサポートは万国共通言語としてボーダレスに発信力の効果が期待できました。中でも、世界最高峰のリーグのひとつであるセリエAの名門クラブチーム「ACミラン」は、伝統に裏打ちされたアグレッシブな精神と姿勢がTOYO TIRESブランドのめざすものとオーバーラップし、ブランドそのものにプレミアム感を付加することができる、とっておきのパートナーとしても評価できたのです。

結んだパートナーシップのスポンサーズメリットとして獲得した、ミラン選手を活用した今回の動画制作は、そのメリットを当社としてフルに活用できるチャンスであり、戦略的なPR展開を企画実行しました。


動画の高い品質と独創性をブランドコミュニケーションのメッセージに

効果の最大化を追求するために必要な要件は2つありました。一つは、前提となる動画そのものの「ストーリーのユニークさ、そしてグローバルに通じる高いクオリティ」です。

フットボールクラブをサポートするさまざまな企業がそのチーム選手を起用したCFや動画を制作していますが、単に扱う製品やブランド名を全面に押し出したようなものであれば、視聴者のココロを揺さぶることができないのは自明の理であり、ブランドへの共感を得るどころか失望を与えるとの考えを当初から持っていました。ですので、短期的な投下費用回収という販促意識を一切忌避して臨みました。

動画では、一流のミラン選手とスーパーカーが対決するという、普段は考えられないシチュエーションを設定し、選手たちの遊び心ある表情とどんなゲームでも勝負にこだわるまなざしを織り交ぜるとともに、タイヤメーカーとして当社が関わりを持つ自動車のパフォーマンスの美しさや楽しさを凝縮しました。

また、制作段階から、話題拡散をあらかじめ念頭に置いた演出を随所に挿し込むなど、複合的なPRを優位展開できるように、全体のコミュニケーション戦略を俯瞰した動画づくりを行ないました。

見る人にユニークな「新しい驚き」を与えていくというTOYO TIRESブランドの世界観を『表現』すること、これが動画のコンセプトでしたが、同時に効果最大化訴求のための要件でもあったのです。


より多くの人々の耳目を集めるためのグローバル発信を仕掛ける

効果最大化のもう一つの要件は、それをより多くの方にいかに『伝達』していくかというPR展開です。グローバルに見たとき、タイヤという製品は、その国や地域の自動車に対する社会的文化度や経済環境、趣向性や求められる性能なども異なるため、当社は、各マーケットの現地法人が主体となって販促活動を展開するスタイルをとっています。よって、今回のように、一つのブランディングコンテンツをグローバルに横断的に展開するのは初めてでした。展開にあたっては、一番リーチが短いと考えられるACミランの熱狂的なファン(ミラニスタ)、サッカー競技そのものが好きな層、自動車が好きなコアドライバーなど、共感の感応度が比較的高い層をまずターゲットに設定。各国の主要コミュニティやメディア、独立エディターへコンタクトを取り、企画説明を経ながらリレーションをまず構築しました。

特に日本、イタリアを中心としたユーロ圏、ロシア、中国、その他中南米や中近東まで意識したリリース配信と個別のエディターの趣向に合わせた話題pushを図り、①網羅的、②段階的の両面からのアプローチを図り、1か月半をかけて断続的なグローバル拡散を実施してきました。


映像の話題性とクオリティ、戦略的なPR展開によって得た結果

映像内容のクオリティは世界に通用するクオリティが確保でき、そのストーリー内容も多くの見どころとともに視聴者の反響作用を引き出す話題性を有していました。また、単なる網羅的、一方的なリリース配信はミニマムにして、ストーリーに盛り込んだ演出をさまざまな側面から切り取ってフォーカスを当て、それを第2弾、第3弾といったカタチで、アプローチ先メディアの性向の需要に合わせてその満足を図る情報展開(情報の切り口を変えた展開)を行なったことが功を奏し、期間中、口コミベースでさまざまなマーケットに話題が増幅する結果を得ることができました。

また、想定通り、日本とイタリアでは公開当日からメディアやファンコミュニティでたいへん大きな反響を得ることができました。その後、ロシア、スペイン語圏、中東やユーロ圏各国にも話題が拡散していきました。世界のメディアやインフルエンサーとの事前リレーション構築が有効に働き、世界で300以上ものメディア露出を得ることができました。この報道効果は一般層がニュースに触れる火付け役となり、各国の掲示板(日本では2ちゃんねる、海外ではRedditなど)や個人のFacebookなどで波状的な話題拡散が起こり始めました。

一例ですが、イタリアでは自分たちの街・ミラノで繰り広げられたレースに熱狂するファンが多く、メディアでも『素晴らしい動画』と称えられました。日本では、18日のサッカー日本代表のオーストラリア戦の中継放送で本動画をCFとして展開したところ、「さっきの動画はどこで観れる?」などの声が上がりました。日本代表戦という媒体力の作用を活用したことで、ソーシャルメディア上でも話題になり、Youtubeの再生数もひと際伸びました。

一方、イギリスではMirror紙 に「意味のわからない動画」と評されましたが、それを日本のメディアが取り上げ、ネットユーザーの方々が掲示板で盛り上がるなど、国を越えて共有されるターゲット・トピックになる場面も拡散に輪をかけるなど、ウェルカムな増幅が続きました。

一本の動画がそれぞれの国でどう受け止められるか。一般の視点とメディア側の視点から、今回の動画内容に即して最適と考えられる戦略をあらかじめ構築し、段階的に投じていくメニューの一つひとつについては、その反応を都度確認・検証して軌道修正を行ない、次の手を打っていきました。緻密に戦略を描き、情勢に合わせて戦術をチューニングすることで、より効果訴求に手応えが感じられるプロジェクトでした。

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動画グローバルPR戦略における3つのポイント

●視聴者を離脱させないストーリー設計

●広告・広報、ソーシャルメディアを駆使した戦略

●社内、各国の協力体制

上述した通り、動画そのもののストーリー設計は大変重要だと考えています。今回は2分43秒の動画ですが、興味深いことに2分そこそこまで観ている方が多数を占めていました。Youtubeの世界で2分間という時間まで引っ張ることができたのは、大変嬉しいことです。

我々の手がけた動画は、一体これから何が始まるの?という出だしの高揚感から、一旦レースが始まれば、細かな材料をテンポよく連続していくリズム感、登場人物のキャラクターが光る演出もスパイスとなり、最後のオチが観る人を笑顔にさせるというエンタテインメント性を重視しました。「視聴者を離脱させないストーリー設計」が今回の成功の鍵の1つでした。

次に、広告・広報、ソーシャルメディア活用などの壁を超えて、大きな視点で戦略を企画し実施すること。多様な切り口を考え、伝えたいメデイアや世の中のタイミングをウォッチし、戦略的に設計しました。今回は、オンラインメディア向けPR活動を実施するために10ヶ国語でMynewsdeskを導入し、ソーシャルメディア・モニタリングも活用して、世界からの動画に対する反応をリスニング。プロジェクトチームで臨機応変に施策へと反映していきました。

最後に、海外拠点を含めた社内体制の連携も必要です。今回、本社から各国スタッフに、各国のFacebookページやWebサイトへの掲載の協力をあらかじめ求め、公開に向けた準備をグローバルに整えました。実際に、海外のオウンドメディアからの波及も効果があり、一つの共有コンテンツの価値をいかに最大化できるかは、社内の横断的な理解と連携、情報コントロールがやはり重要であり、グローバルマターの効果を左右すると言って過言ではありません。


グローバルでの今後のコミュニケーション

各マーケットでは販社が主体的にセールスプロモーションを展開していますが、コーポレートブランディングを共有資産・共有戦略と位置づけて、今後さらに横断的に活用意識・享受意識・向上意識を高めていくことが我々の課題です。

今回のプロジェクトは、コーポレートが推進するグローバル・ブランディング・コンテンツをいかにフル活用できるかというチャレンジではありましたが、Mynewsdeskなど知見と強いネットワークを有する専門支援をチーム内に導入し、グローバルなコミュニケーション戦略をより具体的に描けたことが、今後のための価値ある足跡となりました。併せて、グローバル700万回再生という一定の結果を伴ったことで、これを成功体験とできる意義は大きいと考えています。

「新しい驚き」を提供することを標榜するタイヤメーカーとして、ブランディング・コミュニケーションにおいても、グローバルにプレゼンスの高まる「新しい驚き」の提供に努めていきたいと思います。

東洋ゴム工業株式会社 広報企画部長 北川治彦氏


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